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以下、 AMLより転載します。 紅林進
小沢一郎民主党代表は、月刊誌『世界』 1997年11月号で、「公開書簡『今こそ国際安全保障の原則確立を 川端清隆氏への手紙』」と題した投稿論文(公開書簡)で「私が政権を取って外交・安保政策を決定する立場になれば、ISAFへの参加を実現したい」と公言するに至った。アフガニスタンのISAF(国際治安支援部隊)へ自衛隊(地上部隊)を派兵したいと言っているのである。そして「国連の平和活動は、たとえそれが武力の行使を含むものであっても、日本国憲法に抵触しない、というのが私の憲法解釈です」とも言う。
この間、小沢民主党は、インド洋上で米軍艦艇などへの給油を行う「テロ特措法」の延長に反対してきたが、小沢一郎本来の危険な地金が出たというべきであろう。この論文でも、小沢は、「湾岸戦争の時、自民党幹事長だった私は、戦闘部隊を送る必要はないけれども、せめて後方の野戦病院や、あるいは補給艦による物資の輸送などはできるのではないか、と強く主張しました」と得意げに語る。「テロ特措法」による米軍支援は、「国連決議に基づかないものだから反対」というだけであり、国連決議があったり、国連の「平和活動」ならば、戦闘部隊の派兵(いろいろ留保は付けながらも)や武力行使も辞さないというのである。福田自民党からも、それは「違憲」と揶揄される程のタカ派ぶりである。
このような発言に対して、民主党内から、表立った強い批判が出ないのも不思議であるというか、情けない。そして小沢は「党の政権政策の基本方針にも書いてある」と強弁し、「少数意見はあるが、党の方針に従って行動しなきゃ党人ではない。嫌なら離党するしかない」と恫喝をかける。
小沢民主党は現時点では、政権奪取のチャンスとばかり、「テロ特措法」に反対して、自公政権を揺さぶっているが、民主党にはこのような危険な側面があり、そのような勢力が大きな力を持っていることは忘れてはならない。
そして護憲派野党も、この小沢の発言を厳しく批判すべきだが、社民党などは民主党との共闘にヒビが入ることを懸念してか、遠慮がちであるが、この問題は極めて重要な問題であり、決して曖昧にしてはならない。たとえ次の総選挙で民主党を中心とする野党が勝ち、野党連合政権ができたとしても、その政権がアフガニスタン等に自衛隊を派兵し、堂々と武力行使し、現地住民を殺害することにもなりかねない、きわめて重大な問題である。
政権交代は、政治の流動化と活性化をもたらし、必要であるが、そして当面その中心勢力が、このような問題を抱えた民主党たらざるを得ない現状では、我々市民や護憲派野党は、民主党や民主党議員個々人にも働きかけて、このような危険な傾向を批判し、民主党内の平和的、護憲派的部分を支援してゆくことも必要である。たとえば、護憲派、平和派、更には格差是正派に対しては、選挙協力等で協力するが、改憲派、派兵や武力行使、軍事行動を容認する議員や候補、新自由主義的な格差拡大・弱者切捨ての政策を推進しようとする人々に対しては、対立候補を立てる等、圧力をかけて行くことが必要である。
小沢は従来から(湾岸戦争頃か?)「国連中心主義」を掲げ、国連のお墨付きがあれば、自衛隊の海外派兵も武力行使も積極的に行うという立場を採ってきたが、まさにこれまでの自衛隊の海外派兵は、PKOや「国連協力」、「国際協力」の名において行われてきたのである。確かにイラクに対する陸上自衛隊や航空自衛隊の派兵、海上自衛隊のインド洋での米軍艦等への給油等は、国連決議に基づかない、米軍への協力ではあるが、国連決議があったり、国連の認める活動であれば、海外派兵や武力行使を行うべきであるとする考え方自体を我々は批判せねばならない。
国連は、国際政治の力関係に左右される機関であり、決して正義の機関でもなければ、無謬の機関でもないのである。安保理常任理事国の拒否権に象徴されるように、大国主導の非民主的な側面をも持つ機関であることを忘れてはならない。
そして単独行動主義的にイラク戦争・占領を行って泥沼に落ち込んでしまった米国は、特にブッシュ後の次期政権は、その単独行動主義による失敗の反省の上に、国連等を使った形で、他国を巻き込み、「国際協調」(マルチラテラル)という形をとって、その目的を達成しようとするであろう。サルコジ政権下で「親米」に転じたフランスなども巻き込みながら。「国連」の名を使った「対テロ戦争」や軍事行動に、加担しないような、それを批判しきる理論武装が必要である。
もちろん国連が国際政治において一定の影響力を持っていることも事実であり、国連に代わる国際的な正統性を持つ機関が存在しない以上、国連を無視したり、軽視したりすることは誤りである。国連をより民主化し、大国主導を改め、大国も小国も平等に、そして市民やNGOの声も反映できるような組織に改編してゆくための、国際的な運動や働きかけも同時に必要である。
以上は「国連」や「国連協力」を名目とする、海外派兵、軍事力行使の批判であるが、もう一点は日本国憲法第9条の非軍事・平和主義との関係である。
小沢は「国連の平和活動は、たとえそれが武力の行使を含むものであっても、日本国憲法に抵触しない」と言い張るが、憲法第9条1項では、 「国権の発動たる戦争」だけでなく、「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」と明確に規定しているのである。それは、日本と他国との「国際紛争」だけでなく、国連による「国際紛争の解決」の場合も、それを解決する手段としては、日本は武力の行使、威嚇を放棄したと解釈するのが自然である。この非武装、非軍事の理念こそが、憲法第9条の核心であり、小沢自身もこの論文の最後で強調しているように、「紛争やテロの根底にあるのは貧困という人類の根本問題」であり、「どんなに困難であっても、どんなに時間がかかろうとも、貧困を克服し、生活を安定させることこそが、テロとの戦いのもっとも有効な方法」であり、「銃剣をもって人を治めることはでき」ず、「それが歴史の教訓であり、幾多の戦争の末にたどり着いた人類の知恵」なのである。このような非軍事の解決法を国の基本方針として規定したものこそ第9条であり、まさに「人類の知恵」なのである。米軍等の巨大な軍事力をもってしても、イラクやアフガニスタン民衆の抵抗闘争を鎮圧できない現実こそが、軍事力や軍事的解決の根本的限界を示しており、今、日本がやるべきことは、「普通の国」としてその愚かな軍事的解決の一員として加わることではなく、今こそ9条の非軍事、非武装の理念を世界に拡げ、紛争の平和的解決と平和的協力に全力を尽くすことである。
しかし小沢のやろうとしていることは、この「歴史の教訓」も「人類の知恵」もかなぐり捨てて、「銃剣をもって人を治め」ようとしているのである。この小沢の欺瞞を許してはならない。 |
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