報道されていますように、昨日(3月26日)、中国人強制連行訴訟で新潟地裁が国と企業に賠償を命じる判決を出しました。一連の戦後補償裁判で、戦時中の行為について国の賠償責任を認めたのは、今回が初めてのはずです。
戦後補償問題では、除斥期間と国家無答責の法理(国は公権力の行使による損害賠償責任を負わないとする旧憲法下の法理)が法律上の障害となっていました。この点について裁判所の判断はまちまちで、戦時中の国家行為について除斥期間、国家無答責の法理の適用を否定する判決が既に高裁レベルで出ているものの、両方同時に適用を否定し、国の賠償責任を認めたものはありませんでした(つまり、除斥期間の適用を否定したものは国家無答責の法理を適用し、国家無答責の法理の適用を否定したものは除斥期間を適用し、いずれも結論として国の賠償責任を否定する)。 今回の判決では、安全配慮義務違反という国と企業の債務不履行責任を認め(国・企業と原告の間に契約類似の関係の存在を認定)、消滅時効の援用は「社会的に許容された限界を著しく逸脱する」として認めず(特に国については戦争責任追及を免れるための関係書類の焼却や事実否定の居直りを強く批判)、国・企業の賠償責任を認めました。そして、国家無答責の法理については、不法行為責任の判断の中で、「公権力の行使が人間性を無視するような方法で行われ、損害が生じたような場合にまで、民事責任を追及できないとする解釈・運用は、著しく正義・公平に反する」などとして、この法理の適用を否定しました。
今回の判決で難点があるとすれば、国・企業の不法行為責任については除斥期間を適用して、この面での賠償責任を否定したことでしょう(この点は、昨年9月の毒ガス遺棄訴訟の東京地裁判決とは異なる判断です)。 不法行為責任ではなく、安全配慮義務違反という国・企業の債務不履行責任を認め、この面での消滅時効の援用を認めず、結論として国・企業の賠償責任を認めたこと、(不法行為責任の判断の中で)国家無答責の法理の適用を否定したことなどが、被害事実の詳細な認定と併せて、今回の判決の特徴だと言えます。
いずれにせよ、歴史に残る画期的な判決です。昨年の毒ガス遺棄訴訟の判決以上に意義のある判決なのではないかと思われます。
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