補足します
「(一本の)日本刀で斬れるのは3、4人程度」ということを証明できる、信頼できる資料があるのかどうか、というのが、とりあえずの私の関心事でした。私も何となく、そんなものかと思い込んでいましたので(^^;
しかし、言い出しっぺの山本七平氏の「私の中の日本軍」を読む限りでは、どうも決定的なものがない。
途中までは、自分の体験談と、怪しげな実験記録なるもの(どうやって「実験」したんだかさっぱりわかりませんが)が中心。
連載中に「日本人・中国人・台湾人」の3人の読者から(本当かな?)それぞれ「戦ふ日本刀」の存在を教えてもらって、途中からはこれが最大の「論拠」になります。
ところが「戦ふ日本刀」は、洞氏の言葉を借りると、
>成瀬氏は、日本刀は一人斬っただけで使いものにならなくなるとか、斬れるのはせいぜい三人までだなどとは、けっしていっていない。(「ペンの陰謀」P277)
という「資料」です。「日本刀三人限界説」を証明する資料としては、ちょっと使えそうにありません。
洞氏も、
>一本の刀で「斬れるのはせいぜい三人」とは、これはまた、ずいぶん日本刀の性能をみくびったものである。(「ペンの陰謀」P270)
と結論づけています。
五番街さんのおっしゃる通り、山本氏には、「一本の刀で」と「一回で」の意図的な「混同」があるのかもしれません。また、「白兵戦」と「捕虜の据え物斬り」との違いも、当然あるでしょう。
「ペンの陰謀」では、洞論文のあとに、実際に「据え物斬り」を多数経験した鵜野晋太郎氏の文が載っています。氏によれば、
>刃がしっかりし、折れ・曲りの少ない刀の場合は、一挙に五名乃至十名の連続斬首は十分可能と思われる。(同P377)
なんだそうです。「一回」で「五名ないし十名」ということであるようですね。
では、「一本」ではどうかといえば、そのあとに「藤井曹長」という方の話が載っています。藤井軍曹によれば、
>差し料(自分の所持している刀剣)が普通程度のものであれば、白兵戦で敵と渡りあってガタガタにならない限り、据え物だった相手が抵抗できんように痛めてあるから、一〇〇人位十分殺れるんじゃないですか。(同 P379)
ということです。
まあ実際にどうだったのかはよくわかりませんが、少なくとも「日本刀(一本)三人限界説」には十分な根拠はない、と考えてよさそうです。
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