>※私が出入りしている松尾氏の掲示板でこの記事を紹介したところ、 >「ウヨク」諸君が、なかなか典型的な反論(反応)をしているので、 >参考までにご覧になるのもいいのではないでしょうか。
一月前まで私が出入りしていた↓の「つくる会」岡山きびだんご板でも、「裁判所は左翼でどうしょうもない」だの「『旧日本軍の遺棄』という嘘も、南京虐殺と同じく暴かねばならない虚構の一つ」だの、といった議論がされています。トンデモナイ連中と議論していたものだと改めて思いました。(彼らの意気消沈ぶりも分かりますが)
http://8227.teacup.com/merkatz/bbs
なお、今回の判決について、各新聞の社説では産経だけが批判していました。他は、読売も含め、肯定的でした。
>ただ、他にどの様な法理論を用いて賠償に持っていったのかが、今ひ >とつ不明です。
私なりの分析ですが、判決は先ず、毒ガス兵器の遺棄・隠匿を終戦前後に日本軍が行った事実だと認定しました。その上で、遺棄兵器放置という不作為について国家賠償法1条の適用が可能だとしました。そして、「少なくとも、毒ガス兵器や砲弾が存在する可能性が高い場所、実際に配備されていた兵器の形状や性質、処理方法などの情報を提供し、中国政府に被害発生の防止のための措置を委ねることは可能だった」として結果回避可能性の存在と日本政府の作為義務を認めました。(この点で、今年5月の東京地裁判決は「主権が及ばない中国で兵器を回収することはできず、事故を防止できなかった」と結果回避可能性を否定し、原告・被害者側の請求を棄却しています。) そして、日中国交回復後、作為義務の履行が可能になった後も作為義務を履行しなかったという日中共同声明以降の継続的不作為について「違法な公権力の行使に当たる。」としています。 さらに、不法行為に基づく損害賠償請求権の20年という除斥期間(民法724条後段)について、適用することが「著しく正義、公平の理念に反する」として、除斥期間が問題になった74年10月の事故について、除斥期間を適用しませんでした。 また、日中共同声明での対日請求権放棄については、本件で問題になっているのは、日中共同声明以降の事故発生までの継続的不作為なので、日中共同声明の請求権放棄には影響されない、としました。
なお、松尾板を見たら、「時効」の問題で的外れのことを言っている人が例によって何人かいるようですので、この後、この問題について松尾板に書き込みます。
それから、今回の判決は高く評価できるものではありますが、戦後補償裁判としては、なお残る問題点もあり、これらの点についてはこちら側としても冷静に見ておく必要があると思われます。 第一は、日中共同声明での中国政府の対日賠償放棄が中国国民個人の補償請求権にどう影響するのか、という問題です。今回の判決では前述のとおり日中共同声明以降の継続的不作為が問題にされたため、日中共同声明の個人補償への影響については正面からは判断されませんでした。従って、日中共同声明以前の問題については、同声明で個人の請求権も放棄されたと解釈しても、今回の判決の論理と必ずしも矛盾しないことになります。 第二は、戦前・戦中の国家行為について国家の賠償義務が認められるかという問題です。即ち、明治憲法下では「国家無答責の原則」があり、国の不法行為についての国家責任は一般に否定されていました。(世界的にも国家賠償の制度は一般的には確立していませんでした。)従って、戦前・戦中の国家犯罪は「国家無答責の原則」により免責されてしまう場合がでてきます。 これまでの戦後補償裁判で、国家賠償を認めたのは、関釜裁判にしても劉連仁訴訟にしても戦後の国家行為の違法性についてだけです(勿論、先行する戦前・戦中の国家行為の違法性が前提となっているわけですが)。戦前・戦中の国家行為そのものについて国家賠償を認めた判例は未だありません。(昨年の中国人強制連行での福岡地裁判決も、強制連行の違法性を認定し、今回の判決と同様、除斥期間の適用を否定したのに、民間企業の賠償義務のみ認め、日本政府については「国家無答責の原則」によって賠償義務が免責されるとしました。ただ、この判決では日中共同声明によっても中国国民個人の請求権は放棄されていないと判断されました。) 今回の判決も、現憲法、国家賠償法施行以後の国家行為である遺棄兵器の放置行為について賠償義務を認めたもので、現憲法、国家賠償法施行前の国家行為である毒ガス兵器の遺棄・隠匿行為についてまで賠償義務を認めたわけではありません。(もっとも、原告側が遺棄・隠匿行為についてまで賠償請求に含めていたのかどうかは分かりませんが。)
戦後補償裁判では、除斥期間(時効)の問題と明治憲法の「国家無答責の原則」の問題が法律上の大きなネックになっていると言われていますが、除斥期間の問題については、今回の判決を含め、クリアーされつつあるようです。
>熊猫さんも書かれていますが、日本としては、賠償をするのと同時 >に、さらに被害が増えないよう万全を期する必要があると思われま >す。その様なところに日本の真価が問われてくるのでしょうね。
正に現在進行形の問題なのですから、完全な回収・撤去を急ぐべきでしょうね。放置すれば違法状態がさらに継続すると今回の判決は言っているわけで、その意味からも今回の判決は、早急な解決を日本政府に迫っているものと言えます。
※なお、私は、現在、↓の掲示板で主に「靖国問題」の議論をしています。
http://www.music.ne.jp/~classix/bbs/bbs.cgi
浅岡弘和という人(音楽評論家で高校教師で「つくる会」支援者)の掲示板です。大した板ではないのですが・・・。
|