東中野修道氏自身によるダイジェスト2点。
1点は、正論4月号です。 ■もう政治プロパガンダの“独り歩き”は許さない 「南京事件」証拠写真の真贋を徹底検証 (正論目次)http://www.sankei.co.jp/pr/seiron/koukoku/seiron.html
「政治的プロパガンダが源流だから信用できない」という東中野修道氏の基調が効果を持つとすれば、当時のわが国が「政治的プロパガンダで溢れた国だった」ということをケロっと忘れた老人か、少しも教えられたことがない若者が、読者たちだからなのでしょうか。
(先軍政治の金正日統治が、かつての戦時日本にうり二つに見えないことの不思議。3月10日の火をくぐった亡き母だったら、はっきりと断言するだろう)
国民党政府が抗日プロパガンダを行うも日本帝国新聞報道が翼戦プロパガンダを行うも、双方当然のことです(例えば、鶏調達兵士の笑顔の写真)。そうして戦線からの報道ルートが占領国側に独占されている、と言うことも十分思慮しなければ成りません
なぜ中国側が撮影した写真がないのか? なぜ欧米報道記者による写真が少ないのか? なぜ残酷写真を日本兵が好んで撮影したのか?
「日中戦争時でもイラク報道ぐらいの報道の自由はあったのではないか」といった誤解が多いのではないでしょうか? 当時のしかも日本軍占領地区の報道事情・検閲事情・記事伝送事情について、しっかりとした論考も必要だと思いました。
いずれにしても、このダイジェストの範囲では、東中野氏は既にタラリさんに論破されたことを無視して写真に関する旧論(しかも松尾氏の)を蒸し返していることが目に付きました。(【参照】「プロパガンダ写真研究家」松尾一郎の目の節穴度 http://www.nextftp.com/tarari/Matsuo/zanshu_hen.htm )
「本」において、膨大な写真から143枚を撰んだのかと思ったら、そうではなくて、初稿ゲラで確認したら143枚の写真に言及していたことがわかった、と言うことらしいです。言及しなかった(できなかった?)写真は、どうなのでしょうかね。
もう1点は、講演録です。 ■南京大虐殺の徹底検証 20世紀最大の嘘南京大虐殺の徹底検証(前編) http://www.geocities.co.jp/CollegeLife/7154/12-2.html
『市民に対する虐殺はなかった』という本論の冒頭の一文はこうです。 →「いわゆる南京大虐殺事件というのは、昭和12(1937)年12月13日に南京が陥落してから起こったと言われています。」
勝手な定義づけです。マジシャンです。
私は、この一文で成る程と思いました。正論4月号所論が、「夏服の捕虜斬首写真の不思議」から導入している理由が良くわかりました。 事件を、南京入城後の安全区市民の「虐殺」に『勝手に』限定した上で、「それに合致しないから捏造」としているのです。
中国側のプロパガンダに使われた写真、そしてそこに写る日本兵の姿。それがウソであって欲しい、と私も願望します。祖父たちの世代がそれほど残忍だったとは決して思いたくありません。しかしだからと言って、東中野修道氏のマジックに身を委ねたいとは思いません。
このような願望で歴史を「つくる」ことこそ、「反省を反故にする醜い日本人」として指弾される原因です。右も左も思想信条の如何に拘わらず、避けたいものです。
日中両国研究者が、双方科学的に、プロパガンダ分を減去し、願望を控え、率直な討論、共同研究する日が来ることを期待します。
※ 第2点の情報源は、clawさんのブログの 2005-03-05 ▼勝谷誠彦氏はなぜこんな愚かな文章を書いたのか? 以下の記述です。 http://d.hatena.ne.jp/claw/20050305
皆さん良くわきまえていることばかりで失礼しました。思慮浅きところをご指摘ください。
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